あらすじ

ある日、ぼくたちの小学校で飼っていたウサギが襲われた。
そのせいで幼なじみの“ふみちゃん”は喋れなくなってしまった。
まわりの人たちが少しずつ日常に戻っていくなかで、ふみちゃんだけがあの日に取り残されている。
誰よりも真面目で、優しくて、正義感の強かった彼女はまだ深く傷ついたままだ。
彼女のためにできること。
それがひとつだけある。
ぼくにしかできない、ぼくだけの闘い方が。
辻村深月が贈る、大切な人が傷ついてしまったときの寄り添い方を描いたまっすぐな愛情の物語。
こんな人にオススメ!
暖かくて優しい物語が読みたい方
人の痛みに大切に向き合いたい方
10~20代の人付き合いに悩みを抱えている方
※辻村深月作品の読む順番が気になる方は辻村深月作品には読む順番がある?繋がりを楽しもう!をご覧ください!
ぼくのメジャースプーン:感想

「ぼくのメジャースプーン」は私がはじめて手に取った辻村深月作品でした。
読書に挫折し続けては、何度も挑戦を繰り返していたときに出会った作品ですね。
よく辻村深月作品には読む順番があると言われているのですが、何も知らずに手に取ってしまったんです。
でも、最初に手に取った作品が「ぼくのメジャースプーン」でよかったと思います。
そう思えるくらい心に刺さった作品でした。
ふみちゃんを助けるために、必死にできることを探し続ける“ぼく”の純粋さに心を掴まれたり。
小学生という幼さから、自分の気持ちも上手く整理できなくて苦しんでいる姿に歯がゆさを感じたり。
自分の胸が痛くなるくらい感情移入ができたのは、辻村深月さんの描く心理描写が的確だったからだと思います。
言葉で表現することが難しい痛みが、物語として色んなところに散りばめられながら表現されているんです。
だからこそ、最後のどんでん返しが自分事に感じてしまうくらい、緊張もするし感動もできたんだと思います。
読書初心者で、活字を読むことに慣れていなかった自分でも、物語が進むにつれてどんどん没頭してしまうような作品でした。

辻村深月さんの作品って、どれだけ苦しい描写があったとしても最後には優しく包み込んでくれるんですよね。落ち込んでいるときには、なによりも処方せんになってくれるような気がします。
ぼくのメジャースプーン:心に刺さったシーン

特に心に刺さったのは、先生が“ぼく”に教え子たちの意見を教えてあげるシーンです。
大切な人が傷つけられたとき、どうやってその人に寄り添うか?
という質問に教え子たちが答えたそれぞれの意見を教えてくれる場面。
3人の答えを聞くことができるのですが、そのうちの1人の意見が胸に刺さりました。
もし俺の立場だったらどうするかって聞いたよね。犯人を、うさぎと同じ目に遭わせる。
“ぼくのメジャースプーン”より引用
自分のために犯人がひどい暴力を受けることは、その子だって望まないかもしれない。優しい子だったら、胸を痛めるかもしれない。だけど絶対にやらなきゃいけない。自分のために怒り狂って、誰かが大声をあげて泣いてくれる。必死になって間違ったことをしてくれる誰かがいることを知ってほしい。その気持ちは必ず届くと信じているそうです。
“ぼくのメジャースプーン”より引用
乱暴で眉をひそめてしまうような意見かもしれません。
でも一番優しい意見かもしれないと私は感じました。
理屈や世間体なんかよりも、大切な人のことだけを考えて飛び込んでいく。
そのまっすぐさが、もしかしたら本当に人の心を救えるかもしれないと思えた力強い答えだと思えたんですよね。
傷ついているとき、こんなに自分のことを想って動いてくれる人がいたら何よりも心強いんじゃないでしょうか。
もし大切な人が傷つくことがあったら、そうやって行動を起こせる自分でありたいなと強く感じたシーンでした。

辻村深月作品の魅力を存分に感じることができる一冊です。繊細な心理描写、優しい寄り添い方、物語のどんでん返し、どれを取っても自信をもってオススメできます。
この作品が好きな方へ:管理人オススメ小説
ぼくのメジャースプーンに登場する人物たちが、主役として描かれている物語。先にこっちを読んでからだと、ぼくのメジャースプーンがもっと面白くなるかもしれません!
こちらはぼくのメジャースプーンを読んでから手に取ることをオススメします!子どもたちは夜と遊ぶと同じように、作品間で少しリンクするところがある作品です。


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