
「和菓子のアン」シリーズが人気を博している坂木司さん。今回の記事ではシリーズ一作目の「和菓子のアン」について感想を書かせていただきました!
あらすじ

将来の夢もなりたい自分も見つからないまま高校卒業を迎えた主人公、梅本杏子。
オシャレとか恋愛とかそういうキラキラしたものに興味がありません。
その代わり、食べることが大好きで花より団子な女の子です。
そんな彼女は、ある日立ち寄ったデパ地下で和菓子屋「みつ屋」と出会います。
持ち前の行動力を駆使して、あれよあれよという間にアルバイトとして働くことになったアンちゃん(あだ名)でしたが…。
・凛としているのに株に一喜一憂するほど賭け事が大好きな店長
・超絶イケメンなのに乙女な先輩社員
・可愛い見た目なのにちょっぴり怖い元ヤン気質の同僚
などなど、個性豊かな仲間たちに圧倒されながら和菓子の世界に飛び込んでいくことになります。
果たしてアンちゃんの運命やいかに。
個性的な仲間と癖のあるお客様たちにに振りまわされるドタバタな日常を描いた、坂木司の和菓子ミステリ小説!
こんな人におすすめ!
和菓子の世界に興味がある方
“日常の謎”ジャンルのミステリを探している方
楽しいキャラクターたちの掛け合いを楽しみたい方
和菓子のアン:感想

和菓子の世界がこんなにも面白いとは思いませんでした。
なんとなく渋い世界なのかなと思っていたのに、和菓子のアンを読んでからは見方が変わったと思います。
名前や色合い、モチーフとなった形など、どれを取ってもちゃんと意味があって。
季節やシチュエーションごとに合う合わないがあって。
最初は難しそうな世界に感じていたのに、意味がわかると「面白い!」と感動できる和菓子のエピソードがたくさん描かれていましたね。
読み終わった頃にはつい、近くの和菓子屋さんを調べてしまったり、ちょっとした雑学をまわりの人に話したくなってしまったり…。
読後にも楽しみを残してくれる作品だなぁと感じました。
もちろん、和菓子のアンの魅力はそれだけじゃありません。
個性的(主人公のアンちゃん含む)なキャラクターたちの掛け合いが本当に愉快で惹きこまれるんです。
かと思えば、お気楽に読んでいた読者を裏切るかのように、アンちゃんが困難に突き当たりながらも成長していく感動物語もしっかり描かれている。
一度に二度美味しいじゃないですけど、和菓子の興味深い世界も、アンちゃんの人間模様も、目が離せない魅力的な作品だと思いました。
読みやすいのに感動もできるなんてずるい!

坂木司さんは“日常の謎”にヒューマンドラマを織り交ぜるのが本当に上手。ずっとこの日常の中に自分もいたい、と思ってしまいます。
和菓子のアン:心に刺さったシーン

各章ごとにキャラクターたちの深掘りエピソードがあって、そのどれもが切なくなったり暖かい気持ちになるものばかり。
個人的に心に刺さったシーンというか章は、第二章の「一年に一度のデート」。
7月の上生菓子として「星合」が取り上げられるエピソードが描かれています。
「星合」では夜空の中にポツンと浮かんでいるような点をカササギに見立てて、これから天の川に橋を架けにいく様子が表現されているんですよね。
織姫と彦星がモチーフとなっているこの上生菓子の話に交えながら、「みつ屋」の店長である椿というキャラクターの深掘りがされていきます。
ネタバレになるので詳しい描写はできませんが、とにかくキュンとくるエピソードと、椿店長の切ないエピソードに寂しさを感じる印象深い章なんです。
和菓子からここまでドラマが広がるとは、と感心してしまいました。
また、同じ時期に取り上げられる「鵲(カササギ)」という上生菓子が、橋を架けた後に一休みしているカササギがモチーフになっていることも描かれていて、和菓子そのものが持つ物語の面白さを知ることができたエピソードですね。

坂木司さんの描く人間模様って、癒しと切なさのバランスが絶妙なんですよね。読みやすいのに惹きこまれてしまうのは、描かれる人間模様が決して平坦ではないからでしょうか。
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