
ドラマ化が決定し、話題になっている「永遠についての証明」。のちに直木賞候補に選ばれるようになる作家、岩井圭也さんの衝撃のデビュー作です!
あらすじ

数学の天才、三ツ矢瞭司の死から6年。
かつての級友、熊沢は彼が遺した一冊のノートをみつけます。
記述されていたのは未解決問題の証明。
親友が遺した証明の正しさを明らかにしようと決意する熊沢でしたがー。
三ツ矢瞭司という人間はなぜ天才と呼ばれていたのか。
どうして若くして世を去ってしまったのか。
未解決問題の証明を通して、一人の天才の生き様と孤独が浮き彫りにされていきます。
第9回野生時代フロンティア文学賞受賞作でもあり、NHKにて実写ドラマ化もされた注目作家、岩井圭也さんの衝撃のデビュー作です!
こんな人におすすめ!
切ないヒューマンドラマを読みたい方
天才の生き様を描いた作品に興味がある方
注目作家のデビュー作を読んでみたい方
永遠についての証明:感想

読んでいて思わず、共感したり、微笑ましくなったり、怒りが湧いたり、胸が引き裂かれるような切なさを感じたり、いろんな方向に心が揺さぶられる作品でした。
物語は、天才の孤独、葛藤が深掘りされていく三ツ矢瞭司視点と、天才に嫉妬する人間の醜さが浮き彫りになっていく熊沢視点で展開されていきます。
瞭司視点では、
・数学に夢中になる自分を、誰にも理解してもらえなかった幼少期
・初めて対等に数学について話せる仲間に出会えた大学生時代
・次第に嫉妬と否定に晒され、孤独に逆戻りしていく研究者時代
という、天才ゆえの苦しみが描かれていて、読んでいて胸が詰まるようなストーリーが描かれていくんですよね。
ただ数学が好き。ただ数学について話せる仲間が大好き。
それだけが大切だった瞭司が、嫉妬や否定のせいでボロボロになっていく様子は見ていられませんでした。
逆に熊沢視点では、
・瞭司の才能に出会ったときの興奮
・自分も負けていられないと競い合った青春
・天才が羨望ではなく嫉妬の対象になっていく過程
などが描かれていて、共感しながらも、人間のどうしようもない部分が浮き彫りになっていきます。
自分が同じ立場だったらと思うと、熊沢のことが嫌いになりきれないんですよね。
そんな熊沢が抱えた後悔と、瞭司の親友として証明を解読していく意地に、複雑な気持ちで共感してしまいました。
数学、天才。
扱われているテーマはとっつきにくいイメージがありましたが、胸がかき乱されるような“人間の感情”
が切実に描かれていて、ストレートに物語が頭に入ってきたと思います。
気がつけば感情が揺さぶられて、目が離せないまま結末まで見届けてしまうような作品でした。
永遠についての証明:心に刺さったシーン

個人的に心に刺さったのは、アメリカから一時帰国した熊沢が瞭司の自宅を訪ねたシーンです。
嫉妬や挫折から仲間たちが離れていき、一番恐れていた孤独に逆戻りしてしまった瞭司。
自分の才能にも自信をなくして、でも数学からは離れられなくて苦しんでいるなか、熊沢が瞭司を決定的に突き放してしまったシーンですね。
ページを捲る手がとまりました。
「あぁ、とどめを刺してしまった」
と、取り返しのつかない展開に息が止まるような感覚になりました。
熊沢なら、唯一の親友なら救えたはずの最後の機会。
痛々しいほどに瞭司の落ちぶれていく様が描かれていたからこそ、熊沢が最後にはなんとか救ってくれるんじゃないかと期待していただけに、辛いシーンでした。
大学生時代の二人の青春を知っているからこそ、余計に残酷さが際立つ展開でしたね。
この直後から、物語は結末に向かっていくのですが、熊沢がどんな気持ちで瞭司が遺した証明の解読を果たすのかが描かれていきます。
後悔、という言葉だけでは説明できないような感情にどうやって向き合うのか。
そもそも、今更こんなことをして意味があるのか。
ラストシーンで描かれる苦悩と葛藤の結末は必見です。
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