

第172回直木賞受賞作となった藍を継ぐ海を描いた伊与原新さん。「科学と人の心」が出会うロマンチックで暖かい物語が魅力的な作家さんです!
今回の記事では、伊与原新さんのおすすめ作品についてご紹介していきます。
「直木賞や実写ドラマ化で話題になったけど、他にはどんな作品があるの?」
「どの作品から読めばいいのかおすすめが知りたい!」
といった方に向けて、伊与原新さんの大ファンである管理人がおすすめ作品を徹底解説!
この記事を読み終える頃には、手に取ってみたい伊与原新さんの作品が見つかるはず!
伊与原新という作家について

まずは簡単に伊与原新さんについてご紹介していきます。
変わった経歴をお持ちの伊与原新さん。
元は富山大学で助教を勤めていらっしゃったそうです。
地球惑星物理学を専門とされていて、その知識が現在の作風の土台となっているんですね。
作家としては、横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビュー。
研究に行き詰まっていたタイミングで、作品の執筆を始めたことが作家になるきっかけだったとのこと。
ミステリ色の強い作品から徐々に科学をテーマにした作品に移っていき、最初の短編集で新田次郎文学賞を受賞。
そこから次々と人気作を執筆し、今や作品のドラマ化から直木賞受賞まで果たした注目の作家さんです!
伊与原新:まずはこの作品から!

まずは、雨の日書庫の管理人イチオシの作品をご紹介!
伊与原新さんの魅力が全て詰まったおすすめ作品です。
月まで三キロ
伊与原新さんの初めての独立短編集。
新田次郎文学賞、静岡本屋大賞、未来屋本屋大賞を受賞して話題となった作品です。
上手くいかない人生に疲れ切ってしまった人たちが、科学の知識に触れて悩みとの向き合い方が変わっていく様子が描かれています。
物語の始まりと終わりで状況は変わっていないはずなのに、不思議と心が軽くなっている。
そんな気持ちの変化を読者も感じることができる作品です。
科学という難しそうな響きからは想像できないような、優しいロマンが詰まった短編集のため、「理系が苦手!」という方でも読みやすい一冊ではないでしょうか。
「どの作品から読もうかな?」とお悩みの方は、ぜひこの作品から手に取ってみてください。
伊与原新さんの魅力にどっぷり浸かれるイチオシ作品です。

管理人は「エイリアンの食堂」が一番優しくてロマンにあふれていて好きでした。
伊与原新さんのファンになるきっかけになった短編です!
伊与原新:短編おすすめ3選!

伊与原新さんは短編の名手だと管理人は思っています。
まだ作品数は少ないものの、ハズレのない短編集は読者の心をしっかりと掴んでくれるものばかり。
どれかひとつでもハマれば、他の短編集もきっと楽しめるはず!
ということで、ここからは伊与原新さんのおすすめの短編集についてご紹介していきます。
藍を継ぐ海
第172回直木賞を受賞した注目の短編集!
月まで三キロからはじまった、「科学と人の心」をテーマにした独立短編集の3冊目ですね。
これまでの短編集よりも科学による知識の積み重ねや引き継がれていく文化に焦点が当てられているとのこと。
焼き物、ウミガメ、狼、隕石、そして原爆などの「紡がれてきた歴史の長さ・重さ」に触れて人生が変わっていく人たちが印象的に描かれています。
特に管理人がおすすめしたいのは短編「狼犬ダイアリー」。
人生に行き詰って奈良に移住した主人公が、山奥で混狼(狼と犬の交雑種)に出会い、自分の生き方を見つけていくというストーリー。
自分とは無関係だと思っていた文化や知識が、ふと考え方を変えるきっかけになるという伊与原新さんならではの描写が光る短編だと感じました。
自分の人生に悩みや不安を抱えている方に手に取ってほしい一冊ですね。
支えになるような言葉をたくさんもらえる短編集ではないでしょうか。

人間ドラマを描きながらも、「へぇ~、そんなことがあったんだ」と学びになる知識も詰まっている点も魅力のひとつ!
宙わたる教室
NHKにて実写ドラマ化され、第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書にも選ばれた短編集。
定時制高校に通う年齢も出身もバラバラな部員たちで構成された科学部が、火星のクレーターを再現するために“実験”をしていくというお話です。
連作短編集となっていて、それぞれの短編で深掘りされる人物が変わりながらも、最終的には全員で実験の成功を目指して手を取り合っていく過程に心が揺さぶられます!
科学部の顧問となっている“藤竹”のミステリアスな雰囲気が良いスパイスになっているんですよね。
・登場人物たちの悩みや葛藤がどう着地していくのか
・藤竹の思惑はなんなのか
・苦難の連続だった実験は成功できるのか
想像を膨らませながら、読者も一喜一憂に身を任せて没頭してしまうくらいのまっすぐな青春小説です。

“連作”短編集である分、他の短編集よりも登場人物たちに感情移入しながら読み込んでしまう一冊だと思います!
八月の銀の雪
伊与原新さんの2作目となる独立短編集。
恐るべきは藍を継ぐ海だけではなく、こちらの短編集でも直木賞の受賞候補作に挙がっていたというところです。
科学が人生を照らしてくれる、伊与原新さん独特の作風の魅力をしっかり感じることができる作品なんですよね。
「海へ還る日」では行き場のないシングルマザーの辛さを描きながらも、息継ぎができるような視点の変え方が物語として描かれています。
読みやすいのに、心に深く寄り添ってもらえたような読後感は必見です。

“スケールの大きな世界”に触れると自分の狭い世界での悩みとの向き合い方も変わることがある、ということを教えてもらえたような作品です。
伊与原新:長編おすすめ3選!

なにかと短編集が話題になる伊与原新さんですが、長編小説も見逃せない魅力が詰まっているんです。
ファンの方によっては、「長編のほうが好き!」という声も挙がるほど。
ここからは、管理人がぜひおすすめしたい長編小説についてご紹介していきます。
ブルーネス
震災による津波被害をテーマに描かれた“はぐれ科学者たち”の群像劇。
地震も津波も正確に予知できず、大規模な被害が生まれてしまった大地震ー。
津波観測システムを作り上げるため、それぞれの後悔を糧に泥臭く動き回る科学者たちが描かれています。
科学の敗北とまでいわれた震災を経て、絶望を胸に刻んだ科学者たちの行く末はどうなるのか。
地震大国といわれる日本において、避けることができない天災にどう立ち向かっていくのか。
出世や派閥争いをかなぐり捨ててでも、科学の力を信じて自分にできることに全身全霊を捧げる登場人物たちの姿に胸が熱くなる一冊。

挫折をしても、周りに厄介者扱いされたとしても、それでも折れない熱を感じたい方におすすめです!
オオルリ流星群
かつて同じ高校に通い、同じ青春を過ごした仲間たちとの再会を描いた青春リバイバル小説。
いきなり地元に帰ってきた“スイ子”が天文台を手作りすると聞いて、旧友たちが協力に駆け付けるところから物語が始まります。
そんな彼女を中心に物語が動き始めるのですが、決して爽やかな青春の再演とはいかないところが本作の魅力のひとつ。
長い時間を経て、高校時代とはすっかり環境が変わってしまった登場人物たち。
それぞれ、生活の中で抱える悩みや不安があり、思うように人生を送ることができていないことに行き詰まりを感じていました。
やがて天文台作りを通して明らかになっていく、高校最後に過ごした夏にまつわる謎が波乱を巻き起こしていきます。
自分の気持ち通りには生きていけない、ミドルエイジクライシスを迎えた苦くて切ない大人の青春科学ストーリー!

いくつになっても青春を感じていたい、大切にしたいという方におすすめです!
コンタミ 科学汚染
世の中にあふれている“ニセ科学”をテーマに描かれた作品。
科学的根拠のない製品を、あたかも科学の裏付けがあるかのように取り扱うことについて深掘りした物語が描かれています。
“ニセ科学”によって正しい治療が遅れ、不幸になってしまう人。
正しい治療でも成果がみられず、“ニセ科学”によって心が救われた人。
どちらが正しいのか、第三者が判断することができないセンシティブな問題が読者に突き付けられるんですよね。
“ニセ科学”は本当に悪なのか?
伊与原伸さんの手によって、科学にまつわる光と闇が克明に描かれた一冊です。

読み終わったあと、製品の成分表示や効能につい目がいってしまいます。科学にあふれた現代に刺さる作品ではないでしょうか。
伊与原新:デビュー作

最後のご紹介するのは、伊与原新さんのデビュー作です!
「やっぱり作家さんはデビュー作から読みたい!」
という方に向けてご紹介していきます。
お台場アイランドベイビー
横溝正史ミステリ大賞を受賞した伊与原新さんのデビュー作。
意外にもデビュー作はミステリ作品なんですね。
日本を崩壊寸前まで追い込んだ震災が起き、あちこちの治安が悪化している世界のお話です。
刑事崩れの荒っぽい男である巽丑寅と、出自不明の少年である丈太の二人が主人公として描かれています。
様々な科学要素が散りばめられながらも、ハードボイルドのテイストが強く、今の伊与原新さんの作風とは一味違うところがポイントです。
どこか荒廃した世界観であったり、人間らしくて泥臭い巽丑寅のキャラクター像に引っ張られたりと、骨太なミステリ作品が読みたい方におすすめな一冊。

お台場アイランドベイビーがお好きな方は、ブルーネスやコンタミも楽しめるかと思います!
伊与原新:まとめ

今回の記事では、伊与原新さんのおすすめ小説について徹底解説させていただきました。
ドラマ化や直木賞受賞がきっかけで名前を知った方も多いのではないでしょうか?
伊与原新さんは科学のロマンと暖かいヒューマンドラマで心を前向きにさせてくれる魅力的な作家さんだと思います。
もし気になる作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。
辛いときや苦しいとき、支えになってくれる作品との出会いになるかもしれません。


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