
第6弾目のSF小説チャレンジは「百年法」。不老によって歪んでしまった社会を切り抜いた痛烈なSF小説です!企画の詳細はこちらの記事をご覧ください。
作品名:百年法
不老の技術を手に入れた人類。
一見すると夢のような世界の実現でしたが、現実はそう簡単にはいきませんでした。
不老ゆえの、人口増加、食糧不足、それに伴う治安の悪化。
浮き彫りになっていく社会問題を前に、人類はある決断を迫られます。
生存制限法・通称百年法の制定。
不老処置を受けた人間は、百年経過後に安楽死しなければならない。
そんな将来の人類のために制定された法律に、“今”を生きる人たちはどう向き合えばよいのか。
人々が不安と混乱に陥る中、初めての百年目が訪れようとしていました。
嫌われ松子の一生が大ヒットし、黒い春ではドラマ化もされた作家、山田宗樹の描く骨太SF小説。
こんな人におすすめ!
人間の内面、社会の歪みをえぐった作品が読みたい方
骨太で読み応えのあるSF小説をお探しの方
“考えさせられる物語”がお好きな方
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ストーリー:★★★★☆

本作の焦点は、不老技術そのものではなく、「不老によって人類はどう変化するのか」という視点に置かれています。
物語の鍵となるのは「生存限定法」、通称・百年法。
せっかく不老を手に入れても、次の世代のために“死ななければならない”という制度です。
寿命でも病気でも事故でもなく、「法律によって定められた死」。
それは、不老になったからこそ生まれた選択肢でした。
誰かだけが特別扱いされることは許されず、大切な人が法のもとで命を絶たなければならない状況も、簡単には割り切れません。
物語を通して投げかけられるのは、「本当に納得できるのか」「納得してしまってもよいのか」という問いかけです。
SFとしての設定と、人間の感情や葛藤が丁寧に描かれていることで、どこまでも現実味を帯びた説得力があります。

不老の影響で形骸化した家族制度など、“未来技術によって変化した人々の生活”が楽しめる点も、SF好きとしてはたまらないポイントです!
読みやすさ:★★★★☆

「百年法」はSFが苦手な人でも手に取りやすい作品です。
難しい専門用語や理論に頼らず、文章はスッと頭に入ってきます。
登場人物たちの感情や葛藤が丁寧に描かれているので、心の動きを追いかけながら読み進めやすいです。
章ごとに視点が切り替わる群像劇の構成も、テンポの良さに一役かっていますね。
とはいえ、読みやすさ=軽い、というわけではありません。
この物語の本当の重さは、「100年で死ぬことを法律で決められる」という設定が、読み手にも選択を迫ってくる点にあります。
不老という理想を手に入れた人類が、それでも“死をどう受け入れるか”。
そこにある問いは重く、どこか他人事にできない切実さがあります。
読み進めるのは簡単だけど、読んだ後に残るものはずっしりしている。
そんなふうに、「読みやすさ」と「読みにくさ」が不思議なバランスで共存している作品です。

SFをあまり読まない人にも、そして“考えさせられる物語”が好きな人にも、ぜひおすすめしたい一冊です!
まとめ

SF小説チャレンジ、第6弾でご紹介したのは山田宗樹さんの「百年法」でした。
読書初心者の方にとっては骨太でとっつきにくい作品かもしれません。
ですが、「読書の幅を広げてSFにチャレンジしてみたい!」「次のSF小説はがっつり読めるものがいい」という方には自信をもっておすすめできる作品です。
国外作品のように、近未来の技術や異星人との出会いを描いた「The・SF!」ではありませんが、“人間の内面・社会の歪みをえぐる”という国内SF小説の魅力を味わいたい方は、ぜひ手に取ってみてください!


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