
第7弾目のSF小説チャレンジは「ゲームの王国」。デビュー作でハヤカワSFコンテストを受賞した、小川哲さんが描く本格歴史SF小説です!企画の詳細はこちらの記事をご覧ください。
作品名:ゲームの王国
ポル・ポト政権下で生きた少年少女たちの群像劇です。
クメール・ルージュの首魁サロト・サルの隠し子である“ソリヤ”。
ロベーブレソンで生まれた天才“ムイタック”。
この二人の出会いから、歴史を変える壮大な物語が始まります。
人が正しく生きるためのルールとはなにか。
もし一からルールを作り直すとしたら、どんな犠牲が必要か。
人々が理不尽、不条理に晒されることのない社会は作れるのか。
「みんなが正しく生きられる社会」を目指すために、“命を懸けたゲーム”が迎える結末はー。
第38回日本SF大賞&第31回山本周五郎賞を受賞した、小川哲さんの傑作SF小説です。
こんな人におすすめ!
重たくても読後の余韻が大きい作品が読みたい方
社会の歪みと人間の内面をえぐるSF作品がお好きな方
SFも歴史モノもお好きな方
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ストーリー:★★★★☆

「ゲームの王国」は、“宇宙・ロボット・タイムスリップ”などを題材とした、SFのワクワクを楽しむ作品ではありません。
どちらかというと、発達した科学で浮き彫りになる“人間の内面、社会の歪み”をえぐったSF小説です。
本作の主人公はポル・ポトの隠し子とされる“ソリヤ”と、貧村で生まれた天才“ムイタック”。
ポル・ポト政権の圧政のなか、当然のように家族や故郷が奪われ、人生がメチャクチャになってしまった二人の出会いから最期までが描かれていくことになります。
上巻はカンボジアの歴史モノのような雰囲気で物語が進む一方で、下巻からはとある“ゲーム作り”を通して、別々の道を歩んでいたソリヤとムイタックの結末が明らかになっていく、という構成ですね。
どちらも中心にあるのは“ゲーム”。
ルールに苦しめられる側から、ルールを作る側へ。
希望なんかない中で、でも、それでも、と踠く二人の生き様に、静かに胸が熱くなります。
分厚くて重たいテーマですが、その分、読後に残る余韻も大きな作品がお好きな方におすすめです。

歴史モノもSFも好き!という方には特に刺さる作品ではないでしょうか?ガッツリ読書に時間を使える時に読みたいSF小説ですね。
読みやすさ:★★★☆☆

テーマは重く、語り口も堅め。
とはいえ、それでも読み進めてしまう魅力がある作品だと私は思います。
群像劇として、登場人物が次々と変わっていくテンポ感もありつつ、強烈な個性のおかげでキャラクターがごっちゃになることもありません。
特に、ロベーブレソンという村に登場する人物たちは軒並み曲者揃いで、クスッとしてしまう魅力にあふれています。
重たいテーマで暗い雰囲気なのに、やけに強烈に輝く個性を見せつけてくる彼らは、「ゲームの王国」のもうひとつの魅力ですね。
“真面目な顔でふざけたことを言っている”みたいなギャップのおかげで、良い意味で肩の力を抜いて読み進めることができると思います。
また、下巻で登場する“とあるゲームの仕組み”は、SF好きとしては必見。
“ボタン”の代わりに“感情(脳波)”でキャラクターを動かす、という設定がワクワクを刺激します。
このゲームが「ソリヤとムイタックをどのように繋いでくれるのか?」と期待しながら読む後半は、SF欲も満たしてくれるので、読みにくいと感じた方でも下巻までは粘ってほしい所です。

SFや読書初心者には重たいかもしれませんが、読後の達成感を味わうにはもってこいのSF小説だと思います。「一回、分厚い本にもチャレンジしてみようかな?」とお悩みの方はぜひ、手に取ってみてください!
ゲームの王国:まとめ

第7弾目のSF小説チャレンジは「ゲームの王国」。
読み応えのあるSF小説でした。
小川哲さんは「ユートロニカのこちら側」や「嘘と正典」も面白くて、おすすめの作家さんです。
SFとミステリ、時にはファンタジー的な要素もありながら、飽きない読書体験をさせてくれる作家さんだと思います。
他にも「地図と拳」や「君のクイズ」、「君が手にするはずだった黄金について」など、話題の作品がたくさんあるので、楽しみに手に取っていきたいところですね。
今回の記事で少しでも興味を持っていただけましたら、みなさんもぜひ、小川哲さんの世界に飛び込んでみてください!
考えさせられるけど、癖のある世界観にハマってしまうような読書体験ができるかもしれません!



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